字通の𡴎の部では、孼と共に、「𡴎に辛を加えることが、罪辟・災厄とされたのであろう」と記している。
𡴎は軍行に奉じる祭肉で、辛を加えるとは分与すること、即ち、軍を分けて派遣する意であるから、これをみだりにするのは災いだとの意であろう。
しかしながら、辥の項では、説文の「辠(つみ)なり」、玉篇の「死刑なり」と訓するのを挙げ、これらは辟(へき)の字義であって、辥を罪辟の辟と誤ったものであろうとしている。
辥・孼どちらも「罪辥」を本義とするとのことであるから、「𡴎に辛を加えることが災いである」との説の方が妥当性を感じる。